あるパラリンピック・チームドクターが見た「報道と現実のギャップ」 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 竹藤光市●写真 photo by Takefuji Koichi

中村 おそらく1964年の東京オリンピックの時に、パラリンピックがあったのを知っている人ってほとんどいないんですよね。今でもそうかもしれませんが、オリンピックはみんな覚えているでしょうけど、パラリンピックがあったというのは知らない。日本は世界で初めて2度目の、オリンピック・パラリンピックを開催する国になるんです。ロンドンも、オリンピック・パラリンピック両方を開催したのは2012年が最初ですよね。

伊藤 そうなんですよね。私も、1964年の東京パラリンピックは数年前に知ったんです。そういう意味では、こうして人々が知るようになったということは、50年前に比べると、ものすごい進歩ですよね。

中村 そう思います。

伊藤 こうして"パラリンピック"という言葉を知っている人が増えていく中で、パラスポーツに対する理解というところの広がりは、どう感じていらっしゃいますか?

中村 以前に比べれば本当に、知っている人が増えたと思います。例えば、車いすテニスの国枝慎吾さんなどが、全英オープンなどで優勝すると、普通のメディアもそのことを書くようになっていますし。本当にずいぶん変わってきたなと思います。

伊藤 そうですね。先生が2002年に書かれた著書『パラリンピックへの招待』の中で、2000年のシドニーパラで、大々的にパラ選手が取り上げられる機会も増えたことがうれしい反面、現実の選手とギャップを感じていたと書いていらっしゃいました。それはどういうことでしょうか?

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