ロコ・ソラーレの藤澤五月が「投げ直したい」と悔やむ北京五輪でのショット。「あの一投で勝敗が決まった」

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

――チームメイトの印象的なプレーはありますか。

「本当にチームにはずっと助けられていたのでたくさんありますが、パッと思い浮かんだのは、準決勝の3エンド目のラストロックですかね。ちな(吉田知那美)が早い判断でコールを切り替えて、ダブルにしてくれて助けてくれました。『ちな、マジでありがとう!』でした」

――その吉田知選手も、鈴木夕湖選手も、大会中に苦しい時期があって、そのうえでの銀メダル獲得だったという話をしてくれました。

「夕湖の投げはずっとよかったんですよ。それでもミスになっちゃうのは、私の幅の取り方が悪かったなとも思っていたのですが、夕湖はきっとそう思っていなかったんでしょうね。本当に紙一重だったと思います」

――先ほど話に出ました「悔しいショット」というのは、どの試合のものですか。

「まずは初戦、スウェーデン代表戦の9エンド目ですね。4点取れなかったラストロックです」

――スウェーデンのナンバー2ストーンを出すか、押すかして、シューター(投げる石)を残せば4点というビッグエンドになるチャンスでした。

「簡単なショットとまでは思っていなかったんですけど、スウェーデン代表戦は初戦でしたし、あのショットだけでなく、全体的に『勝たなきゃ』って、自分で自分を緊張させていた気がします。どこか力んでいたんですかね。すごい悔しかった」

――その悔しさやプレッシャーはどのように解消していったのでしょうか。

「(初戦で)負けたあと、軽井沢でジュニアの頃からずっとお世話になっていて、家族のように応援してくれている方からLINEをいただいたんです。ふだんは大会中に連絡をくれる方ではないんですけれど、私の表情を見て心配してくれたみたいで」

――どんなメッセージだったのでしょう。

「『結果なんていいじゃん』というような感じのもので。あの試合だけではなく、今回のオリンピック期間中、その言葉にめちゃくちゃ助けられました。

 言葉という意味では、(石崎)琴美ちゃんにも本当に救われました。ラウンドロビン(総当たりの予選ラウンド)の最終戦の前くらいですかね。場合によっては、どのチームもあと1試合でオリンピックが終わってしまう状況で、ふとアイス全体を見渡したら、どの選手もみんなシリアスな表情を浮かべていて......」

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