「コロナで引退レースもできずに陸上生活が終わった」。学生時代を不完全燃焼で終えた女性が"スパルタンレース"にかける夢 (3ページ目)

  • 石塚 隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

この記事に関連する写真を見る ここまでの話を聞くとあまりにもタフなスパルタンレースであるが、陣在のようなアスリートレベルの選手ばかりではなく、一般参加者にもアプローチしやすい競技になっており、女性の出場者の姿も多く見られる。

 レースのカテゴリーは難易度によって内容が異なる「スプリント(ラン5㎞以上+障害物約20)」、「スーパー(ラン13㎞以上+障害物約25)」、「ビースト(21㎞以上+障害物約30)」が設定されているほか、障害の難易度を抑えた「キッズレース」や知的障がいや発達障がいを抱えたレーサー向けのカテゴリーもあり初級者から上級者、あるいは年齢や性別などを問わず誰でも参加することができる。

 また障害物を越える際に、参加者同士で協力することも許可されており、ゴール時にはハートウォームで不思議な連帯感と達成感の得ることのできるスポーツでもある。

「楽しくやろうと思えば、絶対に充実感を得られると思います。キツかったら歩いて完走すればいいし、みんなで助け合ってゴールを目指すのも自由。汗だく、泥だらけになって次の日は筋肉痛でしょうけど、それも気持ちがいいし、生きているなって実感できますよ(笑)。出場したら絶対に楽しめるはずので、たくさんの人に参加してもらいたいですね」

スパルタンレースの「広告塔」に

 まるで童心に帰れるようなワクワク感がスパルタンレースにはあるといい、トライすることで人生は豊かになると陣在は断言する。

 だからこそ、くすぶっていた自分のハートに火を点けてくれたスパルタンレースを陣在は多くの人たちに知ってもらいたいと思っている。このスポーツが普及することで価値が上昇すれば、当然さまざまな波及効果が得ることができる。自分から率先してPRしていこうと動いている。

「スパルタンレースの知名度からすると、正直、競技そのものに興味をもってアクセスしてくれる人ってまだ少ないと思うんです。ですから、私がメディアに出て、自分自身を知ってもらうことで『スパルタンレースというのがあるんだ』という入口になってくれればいいなって思っているんです。毎日のSNSでの投稿や動画の配信など、まずは自分自身が有名になってスパルタンレースの存在を認知してもらえたらうれしいです」

溌剌とした表情が印象的な陣在。競技の発信にも取り組む溌剌とした表情が印象的な陣在。競技の発信にも取り組むこの記事に関連する写真を見るこの記事に関連する写真を見る

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