2022.03.30

代表コーチが語る競輪界の新星、中野慎詞と太田海也。大きな可能性を秘めた2人が世界水準になる条件とは

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

――その力はどのようにつけていくべきでしょうか。

 国際大会や重要なレースに合わせ、そこで戦う経験はもちろん重要です。ただその中身は選手個々によって必要なものが変わってきますので、何が必要かと一般化することはできません。冷静になることでパフォーマンスを発揮できる選手もいますし、厳しい言葉をかけることで力を出す選手もいます。大切なことは私たちスタッフが選手の個性を見て、必要なことを提供していくこだと考えています。

――中野選手、太田選手は競輪でのキャリアをスタートしたばかりですし、ナショナルチームでも今はBチームです。世界と戦う前にまずは国内で実力を高め、勝つことが求められると思いますが、彼らの特徴をどのように見極め、伸ばしていく計画ですか。

 どちらも決断力に優れている点、そして競走好きなところが長所ですね。太田はトレーニングではプレッシャーのかかる中でもパフォーマンスが出せていますし、中野はレースでの戦略面でもいい判断を見せています。

 ただ繰り返しになりますが、太田はまだ戦術、戦略を学ぶべき段階で、すべてを伸ばしていかないといけません。中野はそれを国際大会で発揮することを今後、期待しています。BチームからAチームに上がるには結果を出さないといけませんが、今、A、Bの選手それぞれに力がありますので、違いはないと思っています。

 今シーズンは男子短距離の選手すべてに国際大会で走る機会を与えていきます。そこでプレッシャーに打ち勝ち、結果を残せるのが誰なのかが見えてきますので、1年後に明確にA、Bが分かれてくるでしょう。

――今後、私たちは中野選手、太田選手の成長を見る時、どのレースのどのポイントを見ていけばいいでしょうか。そして彼らの可能性をどう感じていますか。

 競輪もナショナルチームのレースも両方見て欲しいですね。太田は戦略の立て方、車間の切り方、距離の詰め方などはまだこれからですが、伸びしろしかないので、その部分の成長を見て欲しいと思います。中野は基礎的な面はありますので、あとは勝負強さをしっかり発揮できるかどうかという点になります。

 そしてナショナルチームでは今年、ネイションズカップが通常どおり開催される予定です。どの大会に誰が出ていくかは未定ですが、中野は昨年に1度走ったものの、どちらもほぼ経験がありません。そこでどんな走りができるかですね。

 将来的に大きな大会で力を発揮できる可能性をどちらも秘めていることは間違いありません。私自身も彼らがどう成長していくか、とても楽しみにしていますので、ファンの皆さんにも引き続き、彼らに注目して欲しいと思います。

【Profile】 
中野慎詞(なかの・しんじ)
1999年6月8日生まれ、岩手県出身。早稲田大学卒業。高校時代から自転車競技をはじめ、高校3年時には、国体少年男子スプリントで優勝(大会新記録)、高校総体個人1kmタイムトライアルで優勝、アジアジュニア自転車選手権大会個人スプリント2位など数々の実績を残す。大学進学後も全日本トラックのケイリンで2位、全日本大学自転車競技大会スプリント1位と好成績を残し、強化指定選手にも選出。2021年に日本競輪選手養成所に入所。同年末に早期卒業を果たした。

太田海也(おおた・かいや)
1999年7月27日生まれ、岡山県出身。高校時代はボート競技で活躍し、全国高等学校選抜 ボート大会シングルスカルで準優勝、高校総体ダブルスカルで優勝、国体クオドルプルで準優勝を記録。大学入学後もボートを続けるが、自転車競技に転身し、2021年に日本自転車養成所に入所。2021年12月に早期卒業を果たした。

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