御嶽海は白鵬以来となる新大関での優勝を果たせるか。錣山親方が占う激戦の春場所 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 ところが、優勝したり、好成績を挙げたりした翌場所には、なぜか星を落としてしまうことが多い御嶽海。前半戦は好調であっても、途中で躓くとそのまま連敗してしまうなど、成績にムラがあって、なかなか安定した結果を残すことができませんでした。おかげで、年下の貴景勝、学生時代のライバル正代らに大関の座を先んじられてしまうことに......。

 もしかしたら、昨年までの御嶽海は「関脇でいられればいいかな」といった、妥協の気持ちがあったのかもしれません。本人は「(昨年12月に29歳になって)29歳のうちに大関に上がろうと決意した」とコメントしていましたが、30歳を目前にしてようやく"欲"が前面に出てきたのでしょう。

 誰もが認めるように、実力は十分。前傾姿勢を保って、すぐに引かない相撲が先場所から続いています。そのため、今場所も初日から4連勝と好調をキープしています。

 大関昇進伝達式では、「大関の地位を汚さぬよう、感謝の気持ちを大切にし、自分の持ち味を生かし、相撲道に邁進してまいります」と口上を述べました。このあとも、御嶽海らしい力強い相撲を期待したいですし、白鵬(のちに横綱=現・間垣親方)以来となる新大関での優勝もあり得るのではないでしょうか。

 新関脇の若隆景も注目したい力士のひとりです。

 彼も御嶽海と同じ東洋大相撲部の出身です。4年生の時に全日本学生相撲選手権で準優勝し、卒業後に荒汐部屋に入門。2017年春場所、三段目100枚目格付け出しで初土俵を踏みました。

 身長181cm、体重130kg。幕内力士のなかでは小兵の部類で、入幕当初は「上位でやっていけるのかな?」と見ていました。しかし、昨年名古屋場所で小結に昇進。同場所では負け越したものの、翌秋場所から9勝、8勝、9勝と勝ち越しを続けて今場所、三役の座に返り咲きました。

 個人的には、下から、下から低く攻めていく相撲に徹している点と、おっつけが強い点がここ数場所での飛躍の要因と見ています。

「オレには、この相撲しかないんだ!」

 この気持ちですよね。自分の相撲を貫く姿勢がいい方向に向いて、今場所も初日から3連勝を飾りました。

 次兄の幕内2場所目の若元春も頑張っています。ぜひ、兄弟で旋風を巻き起こしてほしいと思います。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る