ワリエワなどフィギュア界の若年齢化問題。伊藤華英が「細い選手がきれい」の弊害などを語った (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 廣瀬久哉●撮影 photo by Hirose Hisaya、photo by JMPA

 私はこの点についてはポジティブに捉えています。聞いた話ですが、「細い選手がきれい」や「細い選手のほうがジャンプを飛べる」という風潮がフィギュアスケート界にあって、それによって月経の問題が引き起こされているということでした。

 体の線が細くてもちゃんと月経がきていて、内臓もちゃんと機能していれば問題ないと思います。ただ細い体型を維持するために体に負荷を掛けたり、100g単位の体重制限をしなくてはいけない場合は、指導者がしっかりとした知識を持つことが必要です。たとえ指導者自身が同じ競技出身者だからといって、過去の自身の経験だけに頼って月経に関しても指導していてはいけません。ちゃんと女性のコンディション作りの専門的な尺度を持つことも大事なことだと考えています。
女性学生アスリートを支援する活動を行なう伊藤華英さん女性学生アスリートを支援する活動を行なう伊藤華英さん 女性は初経年齢平均が12歳です。15歳は思春期という段階に入ってきて、体に変化が出てきますが、スポーツ界ではこれまでその点について、それほどフィーチャーされてきませんでした。競技現場であるように、月経がこないなどは、不調の合図なわけです。月経がくることで、体が循環して、女性の機能が発達していく。それが女性の健康ということなので、たとえば「無月経で楽だね」という会話がなされているのであれば、それは大きな問題です。

 15歳を過ぎたあたりから、競技者として一番輝く時期に入ってきます。とくに10代後半から20代にかけて乗りに乗ってくる時期ですので、それまでの月経の不調などで、何かを患って引退してほしくないですよね。若いアスリートたちが体の不調にしても、メンタルの不調にしても、競技をやったことで、その後の人生に影響してしまうようなことは、なくさないといけません。健康な状態で競技生活の終わりを迎え、「この競技をやっててよかったな」と思って引退してほしいし、自分の意志で体調管理ができるといいなと思いますね。

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