北京五輪で銀メダルの快挙。カーリング女子日本代表の鈴木夕湖が目指してきたスタイル (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

――そういったことを考えると、北京五輪への意識が自然と高まっていくのではないですか。

「そうですね、と言いたいところなんですけれど、そこまで強い思いはまだありません。オリンピックというのは、もちろん目標のひとつですけれど、昨シーズンも、今シーズンも、(自分の)意識の中にはなかったです。それよりも、平昌五輪の前後あたりから、グランドスラム(ワールドカーリングツアーの最高峰の大会)にも出られるようになって、そこでの試合が本当に楽しくて。

 今季は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で残念ながら開催されていませんが、次はあそこで勝てるようになりたい――そういう新しい目標ができました。そのために、チーム(のメンバーやスタッフ)とも、JD(ジェームス・ダグラス・リンドナショナルコーチ)とも、いろいろと協力して、少しずつできないことが克服されてきた。そして、その一つひとつがつながって、いい試合ができるようになってきたんです。そうしているうちに、3年が経った、という感じがしますね」

――グランドスラムという舞台の面白さはどういったところにあるのでしょうか。

「観客も多く、会場はとても盛り上がります。世界のトップ16(or15)が集う大会なので、どのチームと対戦しても強いです。"抜ける"試合がひとつもない。ただその一方で、どのチームも楽しそうにプレーしているんですよ。

 もちろん、強いチームばかりですから、厳しさもあります。それまでは、だいたい(このあたり)でOKだったショットが、ピンポイントで狙わないと得点に結びつかない。いつだったか、ある試合で『だいたいOK』の悪くないショットを重ねていたら、いつの間にか(相手に)5点取られた、ということがあって。そこまでの精度を求められることが、やりがいにもなっています」

――新たな目標のひとつである、グランドスラムで勝つために大事なことは何でしょうか。足りない部分などありますか。

「互角に戦って、いい試合はできているんです。そこで勝ち切るための戦い方は、JDとも相談して考えているところです。(チームとして)アイスリーディングの面で言えば、大会に入ってからの"曲がらないアイスから曲がるアイス"への対応は得意になったんですけれど、"曲がるアイスから曲がらないアイス"への変化が苦手で、ミスが出てトラブルになってしまうことがある。

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