北京五輪で最高の輝きを放ったカーリング女子日本代表の吉田夕梨花。彼女が見据えてきた高み (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

――日本でも男女ともに技術の高いリードが増えてきて、それが近年の好ゲーム増加につながっているように思います。そんななかで、夕梨花選手が意識している部分がありましたら、教えてください。
                   
「狙ったところに(石を)置くのが仕事なので、それをしたうえで、エンドをどう展開していくのか。そのイメージは大切な要素だと思っています。その石を何のために置いているのか、あとでどうやって使うのか、どのタイミングで効いてくるのか。

 よくモロさん(両角友佑/TM軽井沢)や雄太さん(松村/コンサドーレ)は、投げた時はなんてことのない石でも、のちのち効いてくる、といった意味で『光る石』なんて言い方をするんですけれど、その光は考えて狙っていないと見えない。なかなか競技者以外には伝わりにくいポイントなんですが、私の投げる石が光っていればいいな、と常に意識しています。同時に、私の伸びしろもまだそこにあると思っています」

――日本選手権がまもなく開幕します。そこで、夕梨花選手の"光る石"を見極められればと思っています。さて、同大会への抱負、意気込みを聞かせてください。

「変則的で、なかなか試合ができないシーズンではあったのですが、不安よりも今は早く試合がしたい。大会が始まるのが待ち遠しいです」

――そういえば、シーズン前のオンライン会見で変則的な今季のキーワードとして「柔軟性」を挙げていました。

「そうですね。大会の有無やスケジュール面で、すごく不安定なシーズンであることは始まる前にわかっていたこと。私たちだけがそういう状況なら混乱していたかもしれませんが、世界中、どのチームも同じように難しい状況にあったので、メンタルの部分でいちいち一喜一憂していたらキリがありません。(さまざまな変化、変更について)柔軟に対応しなければいけないと思いました。

 逆に言えば、何かが変わったとしても、同じパフォーマンスができるように、柔軟性を要するシーズンだとも思いました。ただそれは、今季のことだけに限ったことではなく、カーリングというのは変化を捉えるスポーツなので、(柔軟性を要することは)継続していかないといけない。そうとも感じています」

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