藤澤五月の世界一のショット率もお膳立て。日本中のトップ選手たちが「メダル獲得の立役者」吉田夕梨花を絶賛

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

 そこで、吉田夕がウィックで露払いのようにセンターに風穴をあけ、重要なラストショットを放つ藤澤のドローの道を確保した。もちろん、藤澤の技術ありきではあるが、吉田夕のお膳立てによって、藤澤はプレッシャーの少ないショットを打てる状況を得られ、それをきっちり決めて日本は逃げきりに成功している。

 つまり、日本が銀メダル以上を確定させたのは、吉田夕という地味ながら堅実な土台がいたからこそ、と言っても過言ではない。

 21日に帰国したロコ・ソラーレはこのあと、隔離期間を終えると地元の北見に戻る。凱旋試合として予定されていたミックスダブルスの日本選手権は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、5月には北見市常呂町で日本選手権が開催される予定だ。その舞台で再び、ロコ・ソラーレの雄姿が見られるだろう。

 今や日本のレベルも上がり、藤澤も「国内で勝つのが本当に難しい」と語っていたことがある。実際、日本選手権では世界選手権代表の中部電力、ディフェンディングチャンピオンでアジア王者でもあるフォルティウス、さらに昨夏のどうぎんカーリングクラシックでそれら2チームに加え、ロコ・ソラーレにも勝って優勝した富士急など、強豪ライバルたちが待ち構えている。どのチームも五輪銀メダルチームからの金星を狙って挑んでくるはずだ。

 ロコ・ソラーレの躍進によって、一段と注目度が増す日本選手権。各試合ではリードの1投目から注視して、その後のショットとリンク上の状況をつぶさに見届けてみてはどうだろうか。カーリングという競技が、より楽しめるはずだ。

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