北京五輪で好成績を残した日本のスピードスケート。男子の未来は明るくも女子は若手の台頭が課題 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

【日本スピードスケートの未来】

 ただ、これからの日本チームを見れば、2018年平昌五輪がメダルゼロに終わった男子は、平昌大会後に新濱の急成長で500mが勢いづいたことで、村上右磨(高堂建設)や松井大和(シリウス)ら世界のトップで戦える選手が出てきていた。また、今季は森重という新星も出てきて明るい状況だ。

 1000mと1500mで今大会は入賞者ゼロだった。W杯開幕前のPCR検査で陽性者が出たことで、メダル獲得の可能性があったチームパシュートは本大会への出場権を逃し、最多で9枠になる男子出場の総枠も7に止まってしまった。今季、開幕戦の全日本距離別選手権の1500mや1000mで一気に頭角を現してきた学生勢が代表に入る余地がなくなってしまった影響もある。彼らの今後の成長が期待できるだけに、短距離とともに男子の次は明るい。

 一方の女子は、今回の出場8選手中6名が前回経験者で、メダルや入賞を狙える主力もその6名のみという状況で、世代交代がうまくいっていない。特に500mは一番若い高木美帆でも27歳で、小平と郷亜里砂は35歳と34歳だ。

 また、チームパシュートのメンバーも今季は1500mで世界のトップに肉薄した佐藤綾乃(ANA)は25歳だが、高木菜那(日本電産サンキョー)と押切美沙紀(富⼠急⾏)は29歳。高木美帆や佐藤は次の五輪も主力として戦ってくれるだろうが、それを追撃する若手の台頭も必要不可欠になる。これからはトップの強化とともに、ジュニア世代からの育成強化にも力を入れなくてはいけない状況になっている。

 メダル量産という役割は果たしたスピードスケートだが、次へ向けては新たな課題が生まれた。

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