藤澤五月の苦しむ姿を見て日本のライバルからエール。カーリング女子日本代表の本領はこれから発揮される

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

 日本の他、クオリファイに進んだ3カ国は、ラウンドロビン1位のスイス、2位のスウェーデン、3位のイギリス。いずれも、ラウンドロビンで完敗を喫した相手だ。つまり、準決勝でぶつかるスイスはじめ、これから対戦するチームはすべて格上となる。

 だが日本は、言い方は悪いが、選手たち自身で一度は敗退を覚悟した、いわば死んだ身だ。それでも、激戦のなか5勝を積み上げた成果として、さらに2試合の機会を与えられた。

 あとはもう、開きなおってプレーしてほしい。相手が格上と認めたうえで、自分たちが持っているものを最大限に生かして、そのすべてを出しきって戦ってもらいたい。

 それに、ポジティブな要素もある。日本はチームのショット率が82.3%で、2位のスウェーデン、3位のスイスを抑えてトップ。特にリードの吉田夕は89.6%のショット率を誇り、全チームで最もいい数字だ。セットアップでは、分があると考えていい。

 そもそも、情報収集能力と分析力はロコ・ロラーレの武器だったはず。ここからが、その真価を問われる舞台となる。

 五輪開幕前、チームの生みの親である本橋麻里は「あのレベルになると、最後はいちばん楽しんだチームがいちばん最後まで立っている」と、独特の表現でチームを送り出した。

 残り2試合、その言葉どおりこの最高の舞台でプレーできる誇りと喜びを優先してほしい。そういう時のロコ・ソラーレこそ、強い。

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