高木美帆が専門外の500mで銀メダルが獲れた理由。コーチの言葉で滑りに変化 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

【自分も驚いた】

 同走の選手に恵まれたことも記録を出せた要因のひとつだ。インレーンスタートだったバネッサ・ヘルツォーク(オーストリア)は、今季やや不調だったが、世界歴代6位の36秒83のタイムを持っていて、2019年には小平が2016年から続けていた500m連勝記録をストップさせた実力のある選手。100m通過も10秒46で、バックストレートでは追いかけるのに格好の目標となった。

 そのヘルツォークも37秒28の好タイムを出したが、続く組はなかなかタイムが出ず、高木の組だけ計器のミスがあったのではないかと思ってしまうほど飛び抜けていたタイムだった。

 後半になってW杯総合2位のアンゲリナ・ゴリコワ(ROC)が37秒21を出し、次の第14組で、このレースで金メダルを獲得したエリン・ジャクソン(アメリカ)が100mを10秒33で通過の37秒04を出したことで、やっと高木のタイムが現実であると思えたほどだった。

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