日本男子モーグル界初の金メダル獲得なるか。上村愛子が驚いた堀島行真の斬新な取り組みとポテンシャルの高さ (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • photo by Gary Yee/Getty Images,MATSUO.K/AFLO SPORT

 その一方で、堀島選手はいろんな競技を体感し、学んでいくなかで『モーグルが一番得意で楽しいと改めて気づきました』と言っていて、それはそうでしょ、と思うと同時に、微笑ましかったです(笑)」

――「4年前とは違うな」という雰囲気が、今の堀島選手から伝わってきたりしていますか。

「4年前は、いつも120%の力を出させないと勝てないと思っていて、常に全力でチャレンジしていたように思います。でも結局、そういったスタンスが(五輪では)うまくかみ合わず、結果を出せませんでした。現に堀島選手はこれまでの自分を『頑張りすぎた』と言っています。

 その経験があるので、今回の五輪は『頑張らないことを頑張ります』と言っていたのが印象的でした。それは、80%出せば勝てる、ということではありません。堀島選手は真面目な性格なので、"勝たないといけない"と頑張りすぎると、また空回りしてしまう。そうならないように、常に落ち着いて、どんな状況でもいいパフォーマンスを出す、ということ。

 堀島選手はそれができるように4年間かけて、自分を整えてきたのだと思います」

――堀島選手の最大のライバルとなるのは、今季W杯でも6勝している王者ミカエル・キングスベリー(カナダ)。男子モーグルはふたりの一騎撃ちになると言われています。

「今のところ、堀島選手とミカエル選手に太刀打ちできる選手は見当たりません。そのくらい、ふたりの力がずば抜けています。金メダル争いもふたりのどちらか、という戦いになるでしょう。小さなミスが命取りというような非常に熾烈で厳しい戦いになると思います」

――強豪国はメダル獲得に向けて、戦略的な戦いを仕掛けてくると聞いています。

「ミカエル選手がいるカナダチームは、何年も前から戦略を立てて戦うのがうまいですね。平昌五輪の時は、ミカエル選手を優勝させるためにファイナルでは少し点数を抑えて、あえて堀島選手を上に立たせ、スーパーファイナルで先に高得点を出して精神的な揺さぶりをかけたりしてきました。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る