高梨沙羅「まだ金メダルの器ではなかった」と言いながらも平昌五輪で得た自信。見据えた未来は「北京で金」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

<冬季五輪名シーン>第8回
2018年平昌五輪スキージャンプ・高梨沙羅

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いよいよ2月4日からスタートする北京五輪。開幕を前に、過去の冬季五輪で躍動した日本代表の姿を振り返ろう。あの名シーンをもう一度、プレイバック!

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2018年平昌五輪で銅メダルを獲得した高梨沙羅2018年平昌五輪で銅メダルを獲得した高梨沙羅この記事に関連する写真を見る

【「やるしかない」と自分に暗示】

 2018年2月12日の平昌五輪スキージャンプ女子。深夜に試合が終わると、銅メダルを獲得した高梨沙羅は「悔しさ半分です」と言いながらも、安堵したような笑顔を見せた。

「目標にしていた金メダルには届かなかったけれど、飛び終わってホッとしたというのはありました。何より、ここにきて一番いいジャンプが最後に出たので。最後は自分を信じて飛べたのがよかったと思います」

 韓国・江陵入りした高梨の初練習をみて、飛び出しの形が以前より固まってきているように感じられた。徐々に上げてきた調子が本番までに万全になりそうだ、と。だが、その時の高梨は「まだ自分を信じられている状態ではなく、いろいろと試しながら練習していた」と言った。それでも試合の最後では自分に暗示をかけるようにして、今まで取り組んできたことを思い返して「やるしかない」との気持ちになれたという。

 高梨が自分に自信を持つきっかけになったのが、競技前日に行なわれた3回目の公式練習だった。気温は−10度を下回り強い風も吹く条件だったが、1本目は最長タイの103.5mを飛び、ゲートファクターとウインドファクターを入れたポイントでは1位になった。2本目も得点は4位ながら105.5mを飛んだ。

「(公式練習の)1本目と2本目と自分のなかで確認もできたし、このジャンプで臨むんだという強い気持ちを持って3本目を飛ばないことにした。それが(自信に)つながったと思います」

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