ボートで日本代表を経験した逸材が転身。自転車歴1年余りで早期卒業ラインをクリアし、規格外の能力で競輪界へ (4ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu、石川高央●撮影 photo by Ishikawa Takao

 自転車競技をやり始めてまもなく2年。この短期間で彼は本当に多くのものを吸収してきた。そのなかで感じた競輪の魅力はこうだ。

「まだみなさんに伝えられるほど経験がないのですが、選手の個性や戦術が違うなかでぶつかり合うところに面白さがあります。馬力や体力のある若い選手を経験や技術のあるベテラン選手が打ち負かすところも魅力ではないでしょうか。

 奥の深い競輪ですが、もっと幅広い世代に気軽に楽しめると広く伝えたいと思っています。自分はバンクの中でどこからでも仕掛けられますし、長い距離を踏んでいけるのが持ち味なので『先行型』として最初から最後まで先頭を走り、真っ先にゴールするスタイルを作っていきます。それが誰でも見ていてわかりやすいと思うんです」

 間もなくプロの競輪選手としてデビューする太田だが、ナショナルチームへの興味も強く、世界で戦う志を胸に秘める。ボートで成し得なかった夢を追い、そして競輪選手として高みを目指す。太田の限界を求める旅はここからが本番だ。

「ボート競技から転向してきたこともあり、オリンピックで戦いたいという意志を持っています。世界の選手がどんなスピードで走るのか、そして自分がどこまで戦っていけるのか。それを知りたいですね。

 まだまだ課題も多いですが、日本と世界の両方で活躍できる選手となって、競輪と自転車競技の両方を盛り上げていける選手を目指します」

 類まれなポテンシャルを有し、短期間で驚異的な成長を遂げた太田海也。その成長曲線はいったいどこまで続くのだろうか 。彼の行く末が楽しみでならない。

【Profile】
太田海也(おおた・かいや)
1999年7月27日生まれ、岡山県出身。高校時代はボート競技で活躍し、全国高等学校選抜 ボート大会シングルスカルで準優勝、高校総体ダブルスカルで優勝、国体クオドルプルで準優勝を記録。大学入学後もボートを続けるが、自転車競技に転身し、2021年に日本自転車養成所に入所。2021年12月に早期卒業を果たした。

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