レジェンド中野浩一を超える選手になれるか。生粋の自転車エリートが競輪選手として世界一の夢へスタート (3ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu、石川高央●撮影 photo by Ishikawa Takao

 ただ小学校3年生の時に今の師匠である佐藤友和選手の走りを見たんです。父と一緒に競輪場に佐藤選手を見に行ったら、フェラーリで来ている姿を見て、その音に驚きましたね。『競輪選手になるとあんな車に乗れるんだと』と憧れました(笑)。アルペンスキーは中学までで、高校からは自転車部のある高校に入り、競輪選手を目指そうと考えたんです。ここでアルペンスキーから競輪選手へと種目は変わりましたが、『世界一』 はずっと変わらない夢として持ち続けています」


12月に開催された全日本トラックの「ケイリン」で第2位に輝いた中野12月に開催された全日本トラックの「ケイリン」で第2位に輝いた中野 世界一の目標は2024年のパリ五輪で成し遂げたいと考えている。すでに中野自身がナショナルチーム入りしているとおり、アマチュアの立場でも目指せるが、中野はこのタイミングで養成所に入り、プロを目指した。そこには2つの夢を追う中野ならではの考えがある。

「パリ五輪には国際大会に出場して実績を残し、オリンピックポイントを積み上げないと出場権を得られません。それは大会2年前の2022年度からスタートします。もちろんそれを狙いますが、パリ五輪へ出られる可能性は当然、100%ではありません。

 もし(五輪出場が)失敗してから養成所に入るのは、メンタル的にも厳しいと思います。だから大学3年までに卒業単位をすべて取り終えて、(4年時にあたる)2021年に入るのがベストだと判断しました。

 言うまでもなく競輪選手になることで高いレベルでのレース経験も積んでいけます。それはパリ五輪や世界一に近づくために必要なことで、その経験で強くなっていきたいという思いもありました」

 中野は子供の頃に憧れたように、競輪の魅力を広く伝えていきたいと考えているが、同時に自分の存在もアピールし、自転車競技の象徴となりたいという壮大な夢も持っている。その夢への第一歩がまさにここから始まろうとしている。

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