ロコ・ソラーレが強かったのはなぜか。北京五輪出場の立役者となったセカンド・鈴木の際立ったプレー (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by (c)WCF / Steve Seixeiro

 さらに両角は、鈴木の長所についてこう語る。

「彼女はクセ強で愉快なキャラクターですが、組んでみてわかったのは、すごくカーリングのことを考えている、ということ。人一倍、真摯に向き合っています。

 あとは、理系女子らしく効率的にモノを考えるので、ショットを運ぶ時も常に最高の結果と最悪の結果を頭に入れて、決して最悪にならないようにプレーしています。だから、ミスが出ても致命傷になりにくい。ああいう選手がいるチームは強いですよ」

 鈴木は今回の最終予選だけでなく、9月に稚内で行なわれた北海道銀行フォルティウスとの日本代表決定戦でもハイパフォーマンスを披露し、MVPに選ばれている。今季好調な理由について、鈴木本人はこう分析している。

「(コロナ禍にあって昨季は)海外遠征に行けなかった分、基礎的な練習を『今までの人生で一番やった』っていうくらいやった。それがよかったのかも」

 両角はそれについても同意し、こう続ける。

「ロコ・ソラーレのなかでも、夕湖選手と藤澤五月選手の氷上練習の量は飛び抜けているんじゃないですかね。ほっておいたら、ずっと(ストーンを)投げている。基礎練って、やっぱり楽しくないんですよ。それでも、それを楽しそうにこなせるのは、彼女たちの才能だと思います」

 振り返れば、4年前の平昌五輪では、鈴木はショットが安定せずに苦しんだ試合がいくつかあった。その時も彼女は「下手だから、練習してくる」と言って、空き時間にアイスに乗ってひたすら基礎練習を繰り返していた。

 練習は裏切らない。努力は報われる――時にキレイごとのように響くフレーズだが、練習や努力を怠らなかった今回の鈴木の活躍はそれを実証している。五輪でも同様のパフォーマンスを発揮できれば、チームの躍進につながることは間違いない。と同時に、4年前と同じく多くの人々に勇気と力を与えるのではないだろうか。

「まずはピーキングが大事。もう若くもないので、ちゃんと自分の身体と向き合って北京五輪に調子を合わせていきたい」

 開幕まで50日を切った北京五輪に向けて、12月に30歳の誕生日を迎えたばかりの鈴木はそう語った。身長145cmの小兵にかかる期待と注目度は増すばかりだ。

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