2021.12.15

スピードスケート・小平奈緒、五輪連覇へ本能の滑りにシフトチェンジ。「そろそろ考えるのをやめてみようかな」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AP/AFLO

 そんな状況で出場した今季のW杯は、500mで昨季まで未勝利だったエリン・ジャクソン(アメリカ)が3連勝したのに対し、2位2回と3位1回。それでも第2戦の2レース目には力感のある滑りで初勝利をあげた。
 
 そこから高速リンクのソルトレークシティーに場所を移した第3戦は、「1週間空いたのでトレーニングをハードにして臨み、少し体が動かなかった」と、37秒台のタイムで6位と8位。1000mも「この体の状態でどう滑るかを考えましたが、1分12秒台を出せたので最低限のことはできました」と言うが、結果は7位。

 だが、カルガリーで500mの第1レースは「後半300mはいつもの自分の滑りの感覚だった」と全選手中最速の26秒31のラップタイムで滑り、36秒81で2位になった。

「3年間くらい自分のなかで膠着していた部分を解消し、それがアジャストする段階を粛々と進めているが、今日の後半の300mの滑りは修正できました。本来のところ(滑り)に戻ってくるキーポイントになるかなと思います」

 そんな手応えを得た小平は、翌日の第2レースでは36秒76とタイムを伸ばした。結果はアンジェリーナ・ゴリコワ(ロシア)に0秒10差をつけられる2位だったが、ひとつ殻を破る滑りになった。

「今日のウォーミングアップの時に、結城匡啓コーチから『100mもそんなに遅くなる滑りはしてないのではないか』と言われ、今日はスタートの音に感覚を集中させて滑ったらタイムも出たので、意外と小さなことで修正できるなと思いました。

 思考するのは私の長所だと思いますが、今季は久しぶりの国際大会なので少し考えすぎる部分もありました。やはり500mも1000mも思いきりいけないというより、心のなかで確認事項をひとつずつ消化しながら滑っていたなという感じ。

 その感覚は最初の100mのなかでもあって、音を聞いてから考えて滑り出し、残り400mはだんだん身体が乗っていく感じでした。今回は500mと1000mで自分の感覚に身をゆだねる滑りができ、W杯前半戦を終えられたのはよかったと思います」