高梨沙羅が見つけた「こうすればいいんだ」という感覚。迷いもなく「こんなシーズンインは初めて」と北京五輪に向けて自身に期待 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋茂夫●撮影 photo by Takahashi Shigeo

 自分のジャンプを見直し始めた時は、迷いを抱えてのシーズンインだったが、今シーズンは、迷いが見当たらない。

「追いつめられている感じもないし、自分のやりたいことはできています。課題に向けて調整もしているけど、そんなに苦しい中でというわけではないです」と話す高梨は、「そんなシーズンインは久しぶりというより、初めてだと思います」と明るく答え、こう続ける。

「今は迷いもなくて、自分のやるべきことに目を向けられている感じがします。五輪シーズンをこういう気持ちで迎えられることにホッとしているというより、楽しみな気持ちのほうが大きいです。今は自分のやりたいことがすごく明確なので、そこに向かってやらされているとか、やらなきゃいけないというのではなく、自分が自発的にやりたい、挑戦したいという気持ちができているからこその雰囲気だと思います」

 この北京五輪シーズン、前回女王のマーレン・ルンビ(ノルウェー)が休養を明言しているが、昨季からは若手が何人も力を伸ばしてきていて優勝争いもし烈になっている。さらにサマーグランプリでは若手に加え、高梨より1歳年上のウルサ・ボガタイ(スロベニア)が7戦4勝、2位2回と一気に頭角を現してきた。

「ジャンプというのは毎年のようにスター選手が出てくるからこそ楽しいし、そこに食い込んでいまだにトップで戦えるということが楽しいというか、すごく幸せな気持ちで戦えています」

 そして10年間安定して、トップで戦えている要因も「常に違うことをやっているというか、進化し続けたいという気持ちがあるから、それが結果的に安定につながっているのかもしれない」と分析する。

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