2021.11.21

錣山親方が語る白鵬の偉大さ。「相撲人として次世代へ夢をつなげることがどれほどの喜びか」

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

「今後」と言えば、今場所新十両に昇進した平戸海。今、私が期待を寄せる若手力士のひとりです。

 四股名からもわかるとおり、長崎県平戸市出身。最近は高校、大学で実績を積んで各界入りする力士が多いなかで、彼は中学を卒業してすぐに境川部屋に入門しました。小・中学校の時に全国大会に出場した経験があるものの、目立った実績があるわけではありません。にもかかわらず、21歳で十両に昇進したことは本当にすばらしいと思います。

 また、新十両会見で「稽古は一番やっているという自信がある。その自信によって、相手にビビることがなくなった」と話していたことには驚かされました。彼が所属する境川部屋は、ベテラン妙義龍がいるほか、幕下には有望な力士がひしめく部屋です。そのなかで「稽古を一番やっている」というのは、相当なものだと思います。

 以前、私が注目力士として名前を挙げた関脇・明生も同様のタイプです。よく「稽古はウソをつかない」と言いますが、まさにそのとおりで、明生や平戸海のように黙々と稽古を重ねている力士には、いつかその努力が華を咲かせます。

 そういう力士は、やっぱり応援したくなりますね。平戸海にはご当所場所で、ぜひ勝ち越してほしいものです。

「ご当所」という話で言えば、私の出身地。現役時代、私は鹿児島県姶良郡加治木町(現・姶良市)を出身地にしていました。実際には東京都墨田区で生まれ育ったのですが、父親(井筒親方=元関脇・鶴ヶ嶺)の出身地を受け継いだんです。

 鹿児島出身ですから、福岡にも父親の知り合いがたくさんいました。市場で勤めている人も多く、私が現役の頃は九州場所となると、よく活きのいい魚を差し入れでいただきました。 

 なかでも、アラ(クエ)は最高に美味しかった! 刺身にしたり、鍋にしたりして、部屋の力士たちで30kgはあるアラを2日ぐらいで食べきっていました。およそ1カ月の福岡滞在で、5、6本のアラを平らげたこともありました。

 九州場所での相撲の思い出はほとんどないのですが(苦笑)、アラやゴマサバなど、美味しい魚の思い出話は尽きません。

錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。

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