次なる目標は世界。チームの武器に磨きがかかった北海道銀行フォルティウスが初のアジア制覇

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by (C)JCA

 6エンド以降の後半戦に限って言えば、韓国との3試合で複数得点を許したのは1度だけ。翻(ひるがえ)って、先攻時に相手に1点を取らせる「フォース」を5度も記録するなど、勝負どころとなる後半での巧みなゲームメイクとハンマーコントロールが光った。

 スロースターターといった側面もあるかもしれないが、9月に稚内で行なわれたロコ・ソラーレとの五輪代表決定戦でも後半の粘りが目立っていた。こうした、ひとつの試合のなかで生かされる高い情報収集力とアジャスト能力は、彼女たちのチームカラーとなりつつある。今後はより強固な武器になっていくかもしれない。

 同時に、前半5エンドまでに大きな点差をつけられることがなければ、世界トップレベルのチームとも十分に打ち合えることが可能、とも言える。

 今回の結果によって、日本は来年3月にカナダ・プリンスジョージで開催される世界選手権の出場権を獲得した。

 その代表の座は、来月に北見市常呂町で行なわれる2022世界カーリング選手権日本代表選考会で決められる。吉村が口にした「12月の大会」というのは、このことだ。

 北海道銀行フォルティウスは今回のアジア・パシフィック選手権を最後に、冠スポンサーである北海道銀行との契約が終了。12月からはクラブチームのフォルティウスとして活動していくが、この代表選考会がその初陣となる。

 参加チームはフォルティウスと、今季好調な富士急、中部電力の3チーム。頂点に立ったチームが日本代表として世界選手権に挑む。

 北京五輪出場へ向けて、12月の世界最終予選に臨むロコ・ソラーレはもちろんのこと、世界選手権の出場切符を争うこの三つ巴の戦いにも注目したい。

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