スピードスケート男子、世界への逆襲。平昌ではメダルゼロも北京五輪では期待大 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

 森重は、今季からナショナルチーム入りした21歳の選手。「ふたりに勝ちたいというより、追いつきたいという気持ちが強かったので、優勝にはびっくりしている」と話すが、偶然の勝利ではなかった。

 出身は北海道別海町で、新濱とは同じスケート少年団で滑っていた時期もあった。新濱もその実力をこう話す。

「先週からすごく調子がいいのは感じていたので、正直、村上より森重のほうが来るのではないかと感じていた。彼は最初の100mは速くないが、そのあとの400mは僕や村上と比べて速いのが強み。彼がミスなく400mを滑れば、自分たちとも対等に戦えると感じている」

 この会場のリンク記録は19年のW杯でビクトル・ムスタコフ(ロシア・19年世界距離別3位)が出した34秒50だが、1週間前のタイムトライアルで森重はそれに迫る34秒5台を出していた。

「氷の条件も(タイムトライアルより)よくなる今回はそれ以上を出したいと思っていた。得意の100m以降のラップタイムで25秒(24秒97)を切れたのはよかったですが、もっとタイムを上げていけると思う。北京五輪は代表争いに入れると思っていなかったので、実感はないですが、これから選考会へ向けて気持ちを高めていきたい」

 こう話す森重は、この後の初挑戦となるシニアW杯でも、今の実力を出せれば世界でも十分戦える状態。500mが2枚看板から3枚看板になりそうな状況は、日本にとって北京五輪へ向けての大きな収穫になった。

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