女子体操・村上茉愛がSNSの誹謗中傷問題で思ったこと。「うまく伝わらないのであれば、 本当に思っていることは発信できない」

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by JMPA

女子体操で57年ぶりとなるメダルを獲得した村上茉愛女子体操で57年ぶりとなるメダルを獲得した村上茉愛 東京五輪の種目別ゆかで銅メダルを獲得した村上茉愛が、今月18日から福岡県北九州市で開催される世界選手権に出場する。リオ五輪のゆかでは7位に終わり、東京五輪でのメダルを目標に努力を続けてきた。だが、ケガの影響などで日本代表から外れ、さらにコロナ禍の影響で東京五輪は1年延期となり、練習ができないなか、引退も考えた。ドン底まで落ちたが、這い上がり、銅メダル獲得を果たした。そして今、どんな気持ちで再び世界選手権の舞台に立とうとしているのだろうか──。

 東京五輪、種目別ゆかの決勝、村上の演技順は8人中6番目だった。 

「待っている間、心臓に悪かったですね。世界選手権の決勝など以前は1、2番に演技して、残りの選手の結果を待っていることが多かったんです。相手選手の演技を見てから演技したことがなかったので、見れば見るほど緊張してきました」

 もうひとつ、村上には不安要素があった。

「団体決勝の時、肘を痛めてしまったんです。試合の翌日、倒立しても崩れ落ちる感じで腕に力が入らない。決勝の午前中も力があまり入らない状態でした」

 しかし、いざゆかに立つと気持ちが落ち着き、整った。緊張やケガのことなど感じさせない完璧な着地を次々と決め、すばらしい演技を見せた。

「着地の練習はずっとやってきました。海外の選手は難しい技をするんですけど、その分、着地などの細かいところにはあまり力を入れていないんです。自分は細かいところに力を入れて0.1点差でも勝ちにいく戦略をとっていたので、それが成果として出ましたし、今までで一番の演技ができました」

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