ISSEIがパリ五輪で目指すのは金以上のやばい存在。「多くの金メダリストがいる中で一番目立つ」 (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

「今、ブレイキンは40代が熱いんです。それを見て年齢のピークはないなと学んだし、今まさに一生懸命やっている人が本当に強く、うまくなれるんだなと思いました。だから、とてもシンプルで当たり前のことなんですが、とにかく一生懸命になろうと思っています。すべてを忘れて集中する。僕はチャンスをもらっているので、それに向けて一生懸命に取り組みます」

 ISSEIの口から出た『一生懸命』は、生半可な気持ちではない。『一生懸命』の意味には、「物事にひたむきに取り組むこと」から「命がけでことにあたる」まで幅広いが、ISSEIの思いは後者に近い。短いスパンで1つのショーケースを作るDリーグで、ディレクター兼ダンサーとしてチームを引っ張りつつ、自らのレベルアップも図っていく。それがどれだけ過酷なことであるかは、容易に想像できる。

 そんな中でも五輪の舞台で金メダル以上の存在を目指すISSEI。その夢の実現のために必要なことを聞くと、意外な言葉が突いて出た。

「勝ち上がるためには、周りに人がいることがとても大切だと思います。家族、仲間、そしてオーディエンスもですね。それが全部つながって一つの空間ができている。周りからよく『ISSEIが1人で海外に行った時って、めちゃ調子悪いよね』って言われるんですね(笑)。

 理由はわかっているんです。優勝した時は、母親が見に来てくれた時とか、周りに家族や仲間、そして冷静に指示してくれる人がいるなど、しっかりとコミュニケーションを取れる環境が整っていました。パリ五輪で勝ち上がるためには、それがとても重要だと感じています」

 地元福岡で6歳からブレイクダンスを始めたISSEI。そこでキッズブレイクチーム「九州男児新鮮組」のリーダーを務め、中学からは東京のダンスチーム「FOUND NATION」のメンバーに入る。これまで常に尊敬できる先輩がいて、一緒に切磋琢磨できる仲間がいた。そんな人たちがいたからこそ成長できたとISSEIは確信している。

 ISSEIが所属するFOUND NATIONは日本でも指折りの強豪チームで、2016年には「Freestyle session World Final」の3vs3で世界一に輝いた実績を持つ。ISSEIはこのチームの特徴をこう語る。

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