叔父・朝青龍に叱られるのを覚悟で豊昇龍がレスリングから相撲の道へ変更したわけ

  • 武田葉月●取材・構成 text by Takeda Hazuki

向正面から世界が見える~
大相撲・外国人力士物語
第9回:豊昇龍(2)

名古屋場所(7月場所)で10勝5敗の好成績を挙げ、初めての三賞、技能賞を受賞したモンゴル出身の豊昇龍。元横綱・朝青龍の甥として注目を集め、2018年1月にデビューすると、とんとん拍子に出世し、この秋場所(9月場所)では幕内の前頭筆頭まで番付を上げてきた。モンゴルで過ごした少年時代、相撲ではなく、柔道やレスリングに打ち込んでいたという、22歳の若手力士の横顔とともに、叔父とのエピソードに迫る――。

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 多感だった少年時代。僕は「横綱・朝青龍」という叔父さんの存在を通して、モンゴルの他の子どもたちよりも、日本の相撲は身近なものだったと思います。もちろん、叔父さんの相撲は毎日のようにテレビ中継で見ていました。

 ただ、大相撲の力士って、メチャクチャ体がデカいでしょ。僕はもともと体が大きいほうじゃないんですよ。相撲に憧れはありましたが、自らが力士になることは「やっぱり、無理だよなぁ......」と、諦めていたんです。

 ウランバートルの道場では、5歳から11歳まで柔道をやっていました。その後はレスリングに転向。転向した理由のひとつは、2020年のオリンピックでメダルを獲りたい、という夢があったからです。

 その頃はまだ、開催地が東京と決まってはいなかったと思いますけど、当時一緒にオリンピックを目指して練習していた年上の友だちが、今回のオリンピックに出場したんです。残念ながら、その友だちは決勝に進むことはできませんでしたが、別の仲間はメダルを獲ったんですよ!

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