元横綱・朝青龍の甥、豊昇龍。「一番のプレッシャーは叔父さんのツイッター」 (2ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text by Takeda Hazuki

 押し相撲の人に立ち合いで押し負けなかったことは、うれしかったし、何より自信になりましたね。テレビ解説の北の富士さんからも、「阿武咲を押し出せるなんて、立派な相撲だね」と誉めていただいたんですよ。エへへ(笑)。

 集中できていたことも、勝てた要因だと思っています。そして、白星でスタートできたことで、その後もいい感じに体が動いていってくれました。

 実はこの場所から、僕、締め込み(本場所で使用するまわし)を新調したんですよ。それまでの青から、明るめの赤に変えました。モンゴルの国旗は青と赤がメインなので、僕は青も赤も好き。

 叔父さん(元横綱・朝青龍)も青い締め込みのイメージがありますが、なんかちょっと雰囲気を変えたかった。生まれ育った街、首都のウランバートルは「赤い英雄」という意味がありますから、原点に戻って......という気持ちもありました。

 新しい締め込みの効果もあってか、10日目を終えて、僕は7勝3敗と好調でした。迎えた11日目は、夏場所(5月場所)9日目に勝つことができた、大関・正代関との対戦です。

 立ち合いから低い体勢をキープ。正代関の引きに乗ずる形で出ながら、右上手をつかんで、大関が上手投げにきた瞬間、右外掛けで崩して寄り倒すことに成功! この相撲で、勝ち越しを決めたことは大きかったですね。

 大相撲の世界は、とにかく勝ち越さなければ、なにも始まらない。夏場所は、大関2人(朝乃山、正代)を倒しながら、7勝8敗と負け越してしまったので、名古屋場所前の目標は「とりあえず、勝ち越し」だったんです。ひとつ目の目標をクリアしてホッとしましたね。

 前頭五枚目のこの場所は、横綱・白鵬関との対戦もあるんじゃないかな? と思って楽しみにしていたんです。でも、終盤に入って、優勝争いが白鵬関と大関・照ノ富士関に絞られてきた時点で、対戦がなくなってしまったのは残念でした。

 白鵬関は、僕の叔父さんと横綱同士で戦ってきた力士でもあります。僕が幕下だった頃も、出稽古先で胸を出してくださったり、声をかけていただいたり......。天下の横綱が幕下のペーペーに胸を出すなんてことは、普通、考えられないことですよ。

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