パリ五輪、金メダルの可能性は高し。団体銀でも新生ニッポン男子体操に光を見た (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 5人が数種目でスペシャリストといえる選手を揃えたリオデジャネイロ五輪とは違い、今大会は4人しか出場できずオールラウンダーの力が問われる大会になった。また日本は、全員が初出場で10代がふたりいる若いチームながらもミスのない演技を積み重ねた。

 2日前には、チームにとって想定外のことが起こっていた。体操の予選は団体、個人総合、種目別が一緒に行なわれるのだが、種目別の鉄棒に絞って出場権を獲得し、優勝も確実と見られていた内村航平が、まさかの落下で決勝進出を逃したのだ。

 団体としては2種目目を行なっている時だった。普通なら絶対エースの失敗は、その後の演技に悪い影響を与えてしまう。だが若い選手たちは動揺することなく、残りの4種目を演じ、262.251点で予選を1位通過と、逞しい精神力を見せた。

「内村が鉄棒で落下したことで、選手たちは『五輪では内村選手でもこんな失敗が出るんだ』と構えてしまうかなと思って心配しました。でも全員がそのあとも気にしないで自分の演技ができていたので、彼らはそれを超越しているなと感じたし、この団体決勝では内村ありきの体操ニッポンではなく、(内村の陰に隠れず)表に出ようとしていると確信しました」

 こう話す水鳥監督は、最終演技者だった橋本についてはこう評する。

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