パリ五輪、金メダルの可能性は高し。団体銀でも新生ニッポン男子体操に光を見た (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 だが、最後に演技をしたナゴルニが19年世界王者としての安定感を見せ、14.666点でまとめて0.103点差で逃げ切り、日本のメダルは銀色になった。

 2日前の予選は1位通過していた日本。ライバルとなるのは2位につけていた中国だと思っていた。しかし、決勝の最初のゆかで中国はミスが続き、日本が1.568点リード。得意のつり輪が終わった時点で0.002差に詰めてきたが、最後の鉄棒では日本が有利な状況になっていた。だが、予選3位のROCがつり輪と跳馬で得点を伸ばしてくる想定外の展開になっていた。

 水鳥寿思監督は悔しさを滲ませながらも、日本チームの健闘を称えた。

「もともと262点台が優勝ラインになると思っていたので、我々が263点を出せば勝てると合宿でも話していて、そのとおりの試合になったと思います。選手たちは歴史に残るだろう大接戦の中、これができれば金メダルだろうと思える演技を重ねてくれた。東京五輪で勝つことは重要なことだと思っていたので、0.1点差を逆転できなかったことは悔しいし、『これで勝てなかったのか』というのも正直な気持ちです。

 ノーミスができればロシアや中国に勝てると思っていたので、その0.1点を拾えなかった悔しさと、選手たちはよく頑張ったという気持ちがグルグルしている感じです。ただ、ロシアは、6種目に出たアルトゥール・ダラロヤン選手(19年世界選手権個人総合2位)が春にアキレス腱を部分断裂しながらも、戻ってきたことはすごいし、金メダルを取りに来ているんだという気持ちの強さを感じました」

 優勝した中国とROCに3点以上の差をつけられる3位だった18年と19年の世界選手権を見ていて、「このままなら東京五輪でも確実に3位だろうな」と水鳥監督は考えていたという。だが、五輪が1年延期されたことで、橋本や北園などの10代の選手が一気に力をつけた。

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