パリ五輪、金メダルの可能性は高し。団体銀でも新生ニッポン男子体操に光を見た

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 男子体操団体は東京五輪で目指していた2連覇の夢を叶えられなかった。しかし、胸を張って誇れる銀メダルだったことに間違いはない――。

 東京五輪体操競技3日目の7月26日、男子体操団体決勝。最終6種目目の鉄棒で、日本の最終演技者である橋本大輝を残した時点で、1位のロシアオリンピック委員会(ROC)とは0.537点差。2位中国とは0.464点差と3位につけていた。

東京五輪での銀メダルは、パリ五輪に向けて糧になる東京五輪での銀メダルは、パリ五輪に向けて糧になる 先にすべての演技を終えた中国のリン・シャオパンが14.133を出し、橋本が14.598点を出せば逆転をできる計算。残るROCのエースのニキータ・ナゴルニも、失敗のない演技をしてくると予想できるだけに、橋本は小さなミスも許されない状況だった。

 予選の鉄棒では、橋本が全体トップの15.033点を出していた。

「演技前、みんなが『大輝、いってこい!』『いけるぞ!』と言ってくれていたので、1人で演技をする感覚はなくて、みんなの思いがこもっているという気持ちになった」

 そう語った橋本は、プレッシャーがかかる中でも完璧な演技をしてみせた。最後の着地もピタリと決めてガッツポーズ。得点は、予選を上回る15.100点だった。

 先に演技を終えていた北園丈琉は橋本の演技をこう見ていた。

「あの時は祈ることしかできなかったし、自分たちが続けてきた演技を託すだけだったので......。ロシアや中国の得点は見ていなかったけど、自分たちのできる最高の演技をしていたので、大輝さんが着地を止めた瞬間は『勝ったな』と思って泣いてしまいました」

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る