「4大関時代」となった夏場所。錣山親方が躍進を期待する力士とは?

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

元寺尾・錣山親方の『鉄人』解説
~2021年夏場所編

元関脇・寺尾こと錣山(しころやま)親方が、本場所の見どころや話題の力士について分析する隔月連載。今回は、5月9日から両国国技館で開催されている大相撲夏場所(5月場所)で、躍進が期待される力士について語ってもらった――。

 大相撲夏場所が5月9日から両国国技館で始まりました。

 今場所は東京都の緊急事態宣言を受けて、3日目(5月11日)まで無観客での開催となりましたが、4日目からは先場所同様、最大5000人までのお客さまを迎えて行なっています。

 昨年3月の春場所では、15日間の無観客開催を経験しました。そして、今回は3日目まででしたが、お客さまの応援がない土俵は、やはり今ひとつ活気に欠けるものがありますね。それでも、力士たちは精一杯の相撲を見せてくれています。

 また、今場所は場所前のPCR検査で、幸いにして力士、親方、裏方、協会員全員の陰性が発表されました。このあとも最大限の注意を払って、協会員全員の力を合わせて千秋楽まで乗り切っていきたいと思っています。

 先場所は、大関復帰のかかる関脇・照ノ富士が後半戦で粘りを見せて、3回目の優勝を遂げました。同時に、大関の座を再び手にしたことは見事でした。

 照ノ富士の大関復帰によって、"4大関時代"に突入。横綱・鶴竜が先場所途中で引退を発表し、横綱・白鵬も休場している今、4大関を中心に優勝争いが繰り広げられるのが理想です。

 ところが、前半戦から強さを発揮しているのは、ヒザの負傷を抱えながらも奮闘している照ノ富士のみ。他の3大関がすでに黒星を喫してしまったことは、ちょっと残念です。

 長引くコロナ禍にあって、出稽古などができない状態が1年以上続いています。昨年の秋場所後からは、国技館内で期間限定の合同稽古が行なわれるようになりましたが、参加者はそれほど多くないようです。

 ということは、所属部屋内での稽古が中心。そうした条件は全力士が同じと考えると、できる範囲内で努力して汗を流す――その姿勢できちんと取り組んでいる力士こそ、場所で力を発揮できるわけです。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る