北海道銀行はなぜ世界で勝てなかったのか。ロコ・ソラーレとの「決戦」への課題

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • 写真提供:(公社)日本カーリング協会

 例えば、ハウス内を狙ってドローショットを放つ場合、相手のガードストーンにつかまりそうな状況であれば、投げた石と当たりそうな石を効果的に残すようなプランもチーム内で共有。そのうえで、投げた石の状況を見ながら、当初の狙いどおりいくか、後者のプランに変えるか、適切かつ素早い判断をくださなければいけない。

 その他にもあらゆる場面で、自軍が投じた石が相手の有利な形に作用しそうになったら、スイープの強弱などによって、AプランからBプランへと移行する必要がある。

 ところが、北海道銀行は敗戦した多くの試合で、そうしたAプランからBプランへの変更が遅れたショットが目立った。あるいは、Bプランを十分に用意できていなかった場面もあったかもしれない。

 その結果、相手の次のショットの難易度を下げたり、相手のビッグエンドを生み出すきっかけを作ったりしてしまった。妙な日本語ではあるが、北海道銀行には"ミスの質の向上"が課題として挙げられる。

 とはいえ、逆に言えばエンドコントロールとリスク管理さえできれば、北海道銀行の上位進出の可能性は十分にあった。

「世界との差はあったけれど、手応えも感じている。自分たちなら絶対にできる、という自信もある」

 そんな、サードの小野寺佳歩の言葉も決して強がりではないだろう。

 実際、ラウンドロビンにおける北海道銀行のショット成功率は、出場14チーム中5位。ラウンドロビンのベストゲームとも言える強豪カナダとの対戦では、先攻で得点を奪うスチールを決め、相手に1点を取らせる"フォース"も記録した。さらに後攻では、複数得点を2エンドで生み出すなど、チームとしての潜在能力の高さを示した。

 それだけに、目標としていた6チームによるクオリファイ(プレーオフ進出)を果たせず、五輪の出場枠を獲得できなかったことは残念でならない。日本が五輪の出場枠を得られるかどうかは、12月開催予定の最終予選に持ち越されることになった。

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