開幕まであと4カ月。聖火リレーと東京五輪を世界はどう見ているか

  • photo by Reuters/AFLO

 今回の様相はあまりにも違う。五輪の聖火とは、世界の人の心をひとつにするべきものだが、今の聖火にその力はなくなってしまったのかもしれない。本当に悲しいことだ。

 ブラジル五輪委員会(COB)は、現在も東京五輪に対して慎重な態度をとっている。彼らにとって東京五輪は頭痛の種だ。あまりにも問題が多すぎるからだ。

 いまブラジルは、世界でも最も厳しいパンデミックに見舞われている。1日に3万人が新たに感染し、3000人が亡くなり、多くの町がロックダウン状態にある。リオデジャネイロやサンパウロは最高警戒度のフェーズに置かれ、病院にもう空いている病床はない。

 東京五輪でブラジルは22の種目に参加予定だ。だが、そのうち10の種目で十分で継続的な練習ができておらず、9の種目ではまったく練習ができていない。セイリングのある選手は、「初めの頃は、自腹で国外に行って練習をしていた。しかし、資金も尽きてブラジルに帰るしかなかったが、国内のビーチはすべて閉鎖されてしまっている。練習しようとしても警察に追い払われる。こんな状況では他国の選手と対等に戦うことはできない」と語っている。

 国によっては普段と同じような練習をしているところもあることを考えると、公平にオリンピックの舞台で戦うことはほぼ不可能だろう。

 それ以前に、代表選手も参加資格も確定していない競技が多い。パンデミックのひどいブラジルからの入国を、現在100以上の国が拒否している。そのためブラジル人は、五輪予選を兼ねる多くの大会から締め出されているのが現状だ。ロックダウンのため、国内の予選会も思うようにできない。ブラジルが日本に送る予定の選手の数はオリンピック約450人、パラリンピック約420人。しかしこの規模の選手団を、日本に送ることはほぼ不可能だろう。現在までに決まっているのはたった197人だ。

 現時点で、ブラジルの選手やコーチ、スタッフでワクチン接種ができた者はひとりもいない。何か特別な措置を講じない限り、これは6月になっても変わらないだろう。1000人近い選手が日本に行くなら、コロナに精通した医師団も必要だろう。しかし医師の足りないブラジルから、彼らを五輪のために奪うのか。

 これが大会120日前のブラジルの現状である。

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