開幕まであと4カ月。聖火リレーと東京五輪を世界はどう見ているか (3ページ目)

  • photo by Reuters/AFLO

 東京に特派員を置く南ドイツ新聞は、橋本聖子組織委員会会長が「希望の光に」と語ったことにかけて「聖火リレーは始まったが、これは希望の兆しか、それとも、高額の放映権料のために無視できない世界的スポーツの祭典の狂気か」と、疑問を投げかけている。

 また、被災して故郷の双葉町を離れ、埼玉に移住している被災者の「復興五輪というなら、その予算を復興そのものに使えば」というコメントを紹介していた。「聖火リレーイベント自体の雰囲気は悪くなかった」としながらも、記事からは五輪への厳しいスタンスがうかがえる。

 ドイツメディアは総じて、自分たちに関わりのあることには関心があるので、外国人客とボランティアが日本に入国できないという決定についてはきちんと報じられていた。また、女性蔑視発言やスキャンダルもそれなりの話題にはなった。ただ、そこまで熱を持って伝えているという印象は受けない。やはり、それどころではないという空気が蔓延しているように感じられるのだ。

5年前、五輪に熱狂した国が直面する厳しすぎる現実

リカルド・セティオン(ブラジル)

 東京五輪の聖火リレーが始まったことは、いくつかのニュースサイトで紹介されているが、テレビのニュース番組や新聞ではほとんど報道されていない。私もこの原稿を書くために注意して探さなかったら、見逃していたことだろう。『グローボ』などのブラジルの大手日刊紙は、通常時ならばスポーツに少なくとも4ページ割いていた。だが、今は他に報道することが多すぎて、半ページに減ってしまった。そこに聖火リレーのスペースはなかった。

 5年前、五輪を開催したのはまさにこのブラジルだった。聖火リレーに皆が熱狂し、とんでもない騒ぎとなったのを今でもよく覚えている。誰もが聖火を持って走りたく希望者が殺到し、35万人の人が抽選から漏れたという。ペレやロナウドといったスポーツ選手や歌手や政治家といった有名人と、一般人がともに走るスタイルだったが、その人たちの紹介と、今どこを走っているかという記事で溢れていた。聖火を持たせて記念写真を撮るという商売も横行した。聖火が国内を巡った4カ月間、ブラジルはその話題で持ちきりだった。

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