開幕まであと4カ月。聖火リレーと東京五輪を世界はどう見ているか (2ページ目)

  • photo by Reuters/AFLO

 大会が開催されることには、たいていのイタリア人は賛成のようだ。水泳や幅跳び、高跳びなどでメダルが期待できる選手も数人いるし、選手たちも日々鍛錬し、東京に行くことを心待ちにしている。ワクチンを接種し、PCR検査もきちんとすれば、感染の恐れも少ないだろう。なにより開催地の日本は、何事にもきちんとしていることで有名な国である。その点においては、選手たちも安心しているようだ。

東京特派員の報道にも、五輪に対して厳しいスタンスが見え隠れ

了戒美子(ドイツ)

 東京五輪に限らず、純粋にスポーツメディア的な観点からすると、五輪と同じ年に開催されるサッカーの欧州選手権や、日常的なブンデスリーガに比べると、五輪に関する報道は極めて少ない。ただ今年は、輪をかけるように五輪の話題は聞こえてこない。

 ドイツでは11月から行なわれているロックダウンが、少なくとも4月18日まで続くことが決まっており、「夏の休暇はどうなるのか」「経済はどうなるのか」「ワクチンは?」といった話題で埋め尽くされている。ひと言で言えば、五輪どころではないのだ。

 それでも、組織委員会のトップからスキャンダラスな発言があって辞任したことと聖火リレーのスタートは、多くのメディアで触れられている。

 公共放送『DasErste』は毎日20時から放送されるニュース番組の中で、聖火リレースタートについて「22時15分からの『tagesthemen』で取り上げます」と告知。その『tagesthemen』という30分番組では、13歳の聖火ランナーを軸に、彼の人生に重ねるように福島の震災からの歩みを紹介していた。

 サッカーを中心にスポーツ全般を取り扱う『キッカー』誌のウェブでは、五輪特集のトップページに3つの記事が掲載されている。ひとつは聖火リレースタート、ふたつ目は外国人客を入れないという決定について。そしてもうひとつは、それについてトーマス・バッハIOC会長が理解を求め、謝罪するコメントの動画だ。

 聖火リレーに関する記事では、著名人の辞退が相次いだこと、日本ではワクチン接種が未だ本格的に始まっておらず、再び感染者は増えていること、外国人客が入れないことでチケットセールスの担当者が失望していることなどを取り上げ、最後は「日本人の過半数が五輪開催に反対している」と締めている。

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