吉田知那美「ロコ・ソラーレには私の居場所があるな、と感じている」 (4ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

――変則的なシーズンとなった今季もクライマックス。大一番となる日本選手権を迎えました。

「昨シーズン(2019-2020)の世界選手権の中止から始まって、楽しみにしていた大会や海外遠征がすべて中止になって、ずっと悲しかったです。どれだけ準備をしても、真剣に準備すればするほど、傷つくし、悲しかったし、苦しかった。

 今季も、日本選手権は開催されましたが、この先、まだどうなるかわからない。それでも、どんなにショックを受けても、今まででいちばんいい準備をしたいし、しなくてはいけない。何が起きても『それまで、最高に楽しい時間を過ごせたよね』と言い合えるように準備してきました」

――悲しい、苦しい思いをしても、心が折れることはなかった。それは、どうしてでしょうか。

「成長している実感はちゃんとあるから、ですかね。普段のトレーニングをしていても、それを感じるメニューを組んでもらって、JD(ジェームス・ダグラス・リンドナショナルヘッドコーチ)、亮二さん(小野寺亮二コーチ)、(石崎)琴美ちゃんという客観的な目があって、(そうした人たちから)的確な意見をもらえる。それには救われました。

 そして何よりも、私たちは諦めていないです。グランドスラム(ワールドツアーの最高峰の大会)にまた出たいし、そこで勝ちたいです。グランドスラムは、どれも決勝戦みたいな試合ばかりで、アイスの上には最強の人しかいないんですけれど、ロッカールームに行けば、お互いに認め合っている選手同士が作る雰囲気が穏やかで、ハッピーで、すごく楽しい。あの舞台でタイトルを獲っていないので、あそこに戻って挑戦したいという気持ちは強いです」

――その前に、まずは日本選手権。今回は2022年北京五輪につながる重要な大会となります。知那美選手はこれまで、どんな大会においても「負けられる時に負けられていた」という独特の表現をされていますが、今大会に向けての抱負を聞かせてください。

「もちろん、すべての試合で勝とうと思っていますけれど、ずっと勝ち続けることはできません。当然、負けた時はものすごく悔しいです。でも、結果論ですけれど、私たちは大きく成長する前にしっかり負けて、悔しい思いをしているんですよね。

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