連日PCR検査。世界選手権期間中も全員陰性の彗星ジャパンが得た手応え (2ページ目)

  • 田口有史●取材・文 text by Taguchi Yukihito
  • photo by Taguchi Yukihito/JHA(日本ハンドボール協会)

PCR検査は連日行なわれた。日本チームは最終日まで全員陰性だったPCR検査は連日行なわれた。日本チームは最終日まで全員陰性だった ひとつが食事会場。もともとのコロナ対策プロトコルによると、参加国の食事場所として各国に1部屋ずつ割り当てられ他国の選手らと交わることはない、というのが我々の理解だった。ところがホテル到着後、指定の食事会場に入ると、「Slovenia(スロベニア)」と表示のあるテーブルが。スロベニアと同じ食事部屋を使うということかと、帯同しているコロナ対策ドクターヘ確認すると、その日の夕食からはSloveniaの表示が「Croatia(クロアチア)」に変わっていた。

 プロトコルをあらためて確認すると、必ず1チーム1部屋というわけではなく、1部屋ずつ割り当てるように「努力する」との記載。大会が始まれば徹底されると見込んでいた対策は、「できる限り」というあいまいさで運営されるという現実を突きつけられた。日本チームは、独自に感染対策への意識を徹底することを余儀なくされた。

 さらに、他国代表チームの中からエジプト到着時のPCR検査で陽性者が出た。それもあって事前に告知されていた試合前日のPCR検査のみならず、試合後にも検査を受けることになり、事実上、毎日のPCR検査が義務付けられた。

 試合に挑むストレスに加えて、バブル内の生活のストレスもあった今大会。日本チームのキャプテン・土井レミイ杏利が「(バブル内の大会を)二度と経験したくないですね。特にこっちの検査官は、(PCR検査のための綿棒を)容赦なく鼻の奥まで突き刺してきますから」と話したように、試合に挑む集中力をそがれかねない状況だった。

 そうした中にもかかわらず、日本代表は快進撃を見せた。

 初戦は、ヨーロッパ選手権2位でこの大会に参加し、過去にオリンピックで金メダル2回、世界選手権で優勝経験もあるクロアチア。その強豪を相手に29対29で引き分け、世界のハンドボール界に衝撃を与えた。

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