藤澤五月が伝えたかった「もぐもぐタイム」の先。自身の結婚観も語った (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

――大会中、他の競技も見ていたんですね。

「選手村のそばに、味の素さんが『G-Road Station』というダイニングを設置してくれて、時間があるときはそこのリラックスルームで、テレビで日本の選手たちを応援していました。特に印象的だったのは、スピードスケートですね」

――なぜスピードスケートが印象的だったのでしょうか。

「スピードスケートだけではないですけど、タイムを競い合う競技って、短い場合は十数秒で勝敗が決するじゃないですか。もちろんオリンピックがすべてではないのですが、4年間の過程、努力や鍛錬をその短時間で出し切らないといけない。それって、本当にすごいことだなと思って。

 そう考えると、1試合に3時間前後かかるゲームが最低でも9試合ある私たちって、『なんて恵まれているんだろう』と。『1投ミスが出ても、いくらでも挽回ができる』――そういうことにも(他の競技を見て)気づかされて、勇気をもらったりしていました」

――こうした感想は初めてうかがったような気がします。平昌五輪直後には、こういった話は広く伝わっていませんでしたよね。

「どうだったんだろう......。それよりも、やっぱり話題になっていた、(世の中から)求められていたものは『もぐもぐタイムで何を食べた?』という話だったと思うんです。もちろん、ああいう報道でカーリングを知ってくれて、私たちを応援してくれた人が多かったことは理解していますし、本当に感謝しています。批判的な気持ちはまったくありません。

 それでも、その先までカーリングのことを詳しく知ってほしい、という気持ちは常にどこかにありましたね。それで、落ち着いてから話す機会があれば......と思っていても、平昌五輪のあと、6月にはサッカーの(ロシア)W杯がありましたし、世の中の興味はどんどん移っていきます。だから今、あれから3年経ってもこの記事を読んでくれる、少なくともカーリングや私たちに興味を持ち続けてくれている人たちには(私たちの思いが)伝わってほしいな、と思います」

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