大関・朝乃山に「強い!」と唸った錣山親方。躍進中の大器に番狂わせも期待 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki


7月場所で注目される新大関の朝乃山7月場所で注目される新大関の朝乃山 さて、肝心の大相撲ですが、7月場所の話題の中心となるのは、新大関・朝乃山でしょう。初日は、このところ力をつけてきている隆の勝と対戦しましたが、左上手を取って送り出し。完勝に近い相撲で、「強い!」のひと言でした。

 私は経験がないからわかりませんが、新大関の場所というのは「緊張する」と言われています。しかし、朝乃山はのびのびと相撲が取れているように思います。春場所後に大関昇進が決まった朝乃山。もしかすると、そこから4カ月もの時間が開いたので、"新大関"という感覚が薄れたのかもしれませんね。実際、その取り口からは、変なプレッシャーが感じられず、今場所でも快進撃が見られそうです。

 一方、場所を引っ張ってもらいたい白鵬と鶴竜の両横綱は、初日の相撲を見て、ややもたついている印象を受けました。

 とりわけ鶴竜は、遠藤にすそ払いをしようとして、逆に腰砕けで黒星。器用な力士だからこそ、墓穴を掘ってしまったのですが、結果、2日目から休場とは残念です。実戦稽古が足りなかったのもあるのでしょうが、それは皆、同じ条件ですからね。

 白鵬は、もともとスロースターター。場所が進んでいけば、調子を上げていくと見ています。

 個人的に楽しみにしているのは、前頭筆頭まで番付を上げてきた豊山です。前回のこのコラムでは、同じ時津風部屋の正代を期待の力士として名前を挙げましたが、彼は西関脇だった春場所で期待どおり勝ち越し。今場所は東関脇の地位につきました。その実力者と毎日稽古ができる、という点が何より大きいです。

 加えて、身長185cm、体重175kgと体にも恵まれています。初日から上位との対戦が続く今場所は勝ち星が上がらないかもしれませんが、そこでの経験を存分に生かしてほしいと思っています。もちろん、体もあって、突っ張りの威力も増しているので、番狂わせを起こす可能性も大いにあります。

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