大関・朝乃山に「強い!」と唸った錣山親方。躍進中の大器に番狂わせも期待 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 それで、朝7時からの第1部と、9時からの第2部と分けて稽古。稽古を終えた者から順番に風呂に入ったり、ちゃんこを食べたりして、なるべく"密"にならないようにしていました。

 さらに、居住空間も改善。これまでは、若い力士たちは2階の大部屋でみんな一緒に寝ていましたが、1階と2階の部屋にそれぞれ分かれて生活するようにしました。

「ステイホーム」が重視されていましたから、当然外出は禁止。通院以外は認めず、買い出しに行く際には、代表者1人を決めて、その者がみんなの分をまとめて購入してくる形を取りました。力士たちにとっては、苦しい日々だったと思います。

 しかしながら、それはみなさんも一緒。また、相撲協会一丸となって感染を防止しなければ、本場所の土俵に上がることができないわけですから、「今は我慢の時期」と、弟子たちには日々言い聞かせていました。

 稽古においては、相撲協会から「ぶつかり稽古などの接触の多い稽古は自粛するように......」などの通達もありました。そのため、緊急事態宣言が出されている間は、基礎運動だけにとどめることに。それが解除されてからは、基礎運動のほか、希望する力士は三番稽古などを行なって、実戦感覚を養っていました。

 いろいろと制約がある厳しい状況下にあっても、「強くなろう!」と思えば、いくらでもやることはあります。部屋の師匠としては、弟子それぞれの、相撲に対する意識や姿勢が改めてわかる時間でもありましたね。

 こうして、感染者が出ないように日々気を遣いながら、大変な時間を過ごしてきましたが、晴れて本場所を迎えることができました。本当に喜ばしいことだと思っています。ファンのみなさんに最後まで本場所を楽しんでいただけるよう、これからも気を緩めることなく、感染予防対策をきちんとして、日々過ごしていきたいと思います。

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