野口啓代、八王子で復活の狼煙。東京五輪で「女王帰還物語」完結へ (5ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO


 八王子大会の決勝でも、次のホールドを取るために飛びつくや、手と足を同時に使う動きを求める課題があったが、これをあっさりと攻略。優勝を手繰り寄せて、女王復活への狼煙を上げた。

 だが、野口の王座奪還への道は、まだ半ばに過ぎない。

 野口が新時代の課題への対応に苦しむ間、スポーツクライミング界には巨大な新星が誕生している。それが、スロベニアの生んだ天才クライマー、ヤーニャ・ガンブレットだ。

 2019年の世界選手権では、コンバインド、リード、ボルダリングに優勝。三冠を成し遂げた女王が、名実ともに世界の頂点に君臨している。

 この強大なライバルを乗り越えなければ、野口が目標にしてきた「東京五輪での大団円」にはたどり着けない。それを最も理解しているのも野口本人だからこそ、昨夏の世界選手権コンバインドで2位になって五輪代表内定を勝ち取った際には、次のように語っている。

「ヤーニャに勝てたことが自信になりましたね。これまで一度も勝ったことはなかったので、コンバインドのなかのボルダリングですけど、彼女に勝てたことは大きかったです」

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