2020.05.25

内村航平が「魔物」を倒したロンドン五輪。
最後にやっと納得の演技

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 それでも、平行棒と鉄棒は全員が力を発揮して持ちこたえたが、ゆかでは田中和仁が着地でよろけて手を着き、13.733点に。最後のあん馬では田中和仁が山室の代役として1番手で出たが、落下してしまい、13.433点と追い込まれた。次の加藤はしっかり持ちこたえて14.766点を獲得し、最後は内村の演技。この時、地元イギリスのメダルが確定して観客席は騒然となっていた。

 内村は、終末技の倒立で手を滑らせてそのまま着地に入るミス。その結果、掲示板で日本は4位と表示された。

 だが、その後日本チームが質問書を審判団に提出。内村の終末技の難易度が認められ、中国に次ぐ銀メダル獲得となった。この時の状況を、内村はこう話す。

「いい演技をしようと思うあまり、型にハメようとしすぎたのかもしれません。最後のあん馬はイギリスのメダル獲得が決まった時で、場内はものすごい声援でした。最初は気にしなかったけど、嫌でも耳に入ってきますからね......。それにやられたというのと、あとは予選のミスを気にしすぎたのかな、ということもあります。

(団体決勝の演技終了後に)最初に4位と表示された時は何も言えなくて、今まで自分は何をやってきたんだろう......って、ずっと考えていました。だから、そのあとで2位に変更された時も、『わっ!メダルを獲ったぞ!』という気持ちにはなれませんでしたね」