奥原希望が劣勢から手に入れた新スタイル。攻守融合の変化で勝利を飾った (4ページ目)

  • 平野貴也●文 Hirano Takaya
  • photo by AFLO

 つまり、攻撃的なスタイルと守備的なスタイルの、2つを融合させたのだ。結局、この試合は逆転勝ち。最後は決勝で敗れ、準優勝で大会を終えたものの、奥原のプレースタイルは、確実に幅が広がったのである。

 翌19年は、実業団を離れてプロになり、国内の大会を回避して国際大会に専念できる環境もつくり出した。国際大会で世界選手権を含めて準優勝6回。優勝にこだわる奥原が納得できる数字ではなかったが、ケガで離脱することなく、19年4月末から始まった五輪レースを含め、安定して好成績を残した。ヒザの状態を保ちながら、試合に勝ちつづけることの両立に手応えを得た。

 この年の世界選手権で長身のソン・ジヒョン(韓国)を破ったラウンド16の試合は、最近のプレースタイルのよさが表れていた。相手をコート奥に追いやるクリアというショットは、相手が落下点に入るのが遅れ、よい球を打てない体勢にさせるのが理想的だ。

 しかし、そのためには低くて速い弾道で頭上を越さねばならない。これが低すぎると相手がコートを下がる前に跳び上がって打ち下ろされてしまう。高い山なりの弾道が安全だが、その場合は相手にフルスマッシュを打ち込まれる可能性もある。また、相手が嫌がって相手もクリアを打ってくると、ラリーは長くなる。

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