「水の呼吸」を意識する羽根田卓也。
何があってもブレずに高みへ突き進む

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


 出場すれば羽根田にとって4度目の五輪となる。取材は五輪開催延期も視野に入れたなかで行なわれたが、今の心境を羽根田は迷うことなくはっきりとした口調でこう語った。

「これまでの3大会とは違う、一生に一度の五輪という位置づけです。自国開催はやはり未知な部分が大きいですが、そこは逆に楽しみではありますね。今はできるだけ高いところに行きたい。ただそれだけを考えています」

 一つ一つの言葉を丁寧に選んで、質問者にわかりやすく明確に答えていた羽根田。その様子からここまで培ってきた経験と実績からくる自信と、東京五輪に懸ける並々ならぬ決意が感じ取れた。

 3月27日には、東京五輪代表決定選手については自動的に2021年大会に出場できるという報道が出ている。最終決定はまだ発表されていないが、羽根田卓也にとってやるべきことははっきりしている。「常に前を向いて、目標を定めて突き進む」。このブレない想いを持っているからこそ、彼は過去3度も五輪に出場できているのだ。彼の心の奥に宿る芯の強さがひしひしと伝わる取材だった。

Profile
羽根田卓也
はねだ・たくや 1987年7月17日生まれ、愛知県出身。7〜9歳までは器械体操をやり、9歳からカヌースラロームを始める。世界レベルで活躍するために高校卒業後、強豪国のスロバキアへ。北京五輪、ロンドン五輪に出場し、リオ五輪では、この競技アジア人初となる銅メダルを獲得した。4大会目の出場を目指す東京五輪ではさらなる高みを目指す

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