「水の呼吸」を意識する羽根田卓也。何があってもブレずに高みへ突き進む (3ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


 五輪では2008年北京大会で14位。12年ロンドン大会で7位、そして16年リオ大会で銅メダルと着実にステップアップしてきた。今回は自国開催となるが、そこに向かうにあたり、これまでの経験、そして地の利が大きな強みになっているようだ。

「五輪はワールドカップや世界選手権などのほかの大会とまったく違うものです。試合の時のカメラの数も多いですし、注目度も圧倒的に高い。独特の雰囲気があることは間違いありません。

 ただこの種目は地の利が働く競技です。その地の利を最大限に生かすことが勝利のポイントだと考えています。これまではヨーロッパを拠点に活動していましたが、今は日本にいる割合を増やしています。東京の実際のコースで練習できることが強みになりますので、それを今後、積極的に行なっていきます」

 昨年、10月には東京都江戸川区のカヌー・スラロームセンターで行なわれた「NHK杯国際カヌースラローム競技大会」で3位に入り、ここで代表の座を決めていた。このコースは東京五輪本番でも使用されるコース。実際にそこを経験し、どんな感想を持ったのだろうか。

「東京のコースは非常に難易度が高く、一瞬の油断が命取りになるなという印象です。そして回転性も求められます。ターンの速さなどは今までトレーニングで特化してきた部分なので、観ていただく方にはその部分に注目して欲しいです。

 全体的にこのコースでは技術、水のフィーリングが求められますので、これからも引き続き自分の長所を伸ばし続けることが、勝利につながると考えています」

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