混乱のなか五輪を目指す野中生萌が
スポーツクライミングから学んだこと

  • 篠幸彦●取材 text by Shino Yukihiko
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


――コンバインドではほかの2種目も重要になってきますが、その2種目に関しては今どのような課題をもって取り組んでいますか。

「スピード種目に関しては(スポーツクライミングが)オリンピック種目に決まってから取り組み始めました。最初は深く考えずにとにかく速く登ればいい、数をこなせばいいと思っていましたが、実際にやっていくとスピード種目の奥深さに気づかされましたね。

 体のポジションが少し違うだけで、下に蹴り出す力の加減が変わったりとか、それによってスピードが変わったりとか、メンタルの状態が登りに影響したりとか......。シンプルなようで複雑というか、シビアなところがたくさんあります。やればやるほどいろんな課題が出てきて、やっていてすごく面白いです。

 リード種目も持久力を上げる意味では登り込むこと、数をこなすことが重要です。リードはルート自体が長いのですが、そのなかで大事にしているのがテンポです。持久力が課題の私にとって、登っている間に迷ったりして無駄な時間を使ってしまうと、余計に体力を消耗して辛くなってしまいます。余計な体力を使わないように、どこでレスト(休憩)を入れたほうがいいのかとか、いかにムーブ(登り方や登る動作)を迷わないようにするかなどを、すごく考えてやっています」

――野中選手は9歳からクライミングをやってきていますが、そのクライミングから学んだことは何ですか。

「私は生まれてから、ほとんどクライミングと共に成長してきました。その中で一つの問題にしっかりと向き合って、その問題にどうアプローチすれば解けるのかという姿勢を一番学んだと思います。グライミングを通してメンタルの部分でもすごく強くなったと思いますし、クライミング以外のことにもポジティブに向き合ってあきらめずに取り組むことができるようになったと思います」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る