「アスリート専用の動画サイト」まである、
知られざる五輪への強化策

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 伊藤晴世●撮影 photo by Ito Haruyo

 
 最後に、久木留センター長に東京オリンピック・パラリンピックの日本選手団の活躍を予想してもらった。ズバリ、メダルは何個!? 
 
「オリンピックはJOC、パラリンピックはJPCの専権事項ですからね、メダルの数まで予想することはできませんが、いけるんじゃないかという手応えは感じています。

 日本と連携協定を結んでいるイギリス、フランス、ドイツ、オランダ、ブラジルなどは、ずっとオリンピックでアメリカ、ロシア、中国に次ぐ第4位から第10位ぐらいのグループでした。そのなかで、近年最も成功した国はどこか。個人的な意見ですが、私はイギリスだと思っています。

 イギリスは1996年アトランタオリンピックで金メダル1個と大惨敗しましたが、そこからがらっとシステムを変え、4年後のシドニー大会で金メダル11個、アテネ大会で金メダル9個。2005年に地元ロンドンでの2012年大会開催が決まると、さらに力を入れ、2008年北京大会で金メダル19個と伸ばし、2012年の自国開催は金メダル29個を獲得し、アメリカ、中国に次ぎ第3位となりました。そして、2016年リオデジャネイロ大会でも金メダル27個を獲得。中国の26個を抜いて、なんと第2位になったんです。

 日本もイギリスと同じくらいやれないことはない。オリンピックでは日本が有利とされる柔道、レスリング、競泳、体操、バドミントン、卓球、フェンシングがそれぞれ複数メダルを獲り、新種目の空手も複数メダルいけそうですし、スケートボード、クライミング、サーフィン、復活した野球、ソフトボールもやってくれるはずです。そうなると、前回の東京大会、アテネ大会の金メダル16個を上回る17個以上、総メダル数もリオの41個を超えるのも夢じゃない。

 パラリンピックも金メダルはソウルとアテネ大会の17個、総メダル数もアテネ大会の52個を超す活躍が見られるのではないでしょうか。我々も全力でサポートしますので、選手のみなさん、ぜひがんばってください!」

【プロフィール】
久木留毅(くきどめ・たけし)
1965年12月28日生まれ、和歌山県出身。専修大学文学部教授。
和歌山県立新宮高校でレスリングをはじめ、専修大学でも活躍。卒業後はサンボ日本代表として世界選手権などに出場。
筑波大学大学院で体育学修士、法政大学大学院で政策科学修士、さらに筑波大学大学院でスポーツ医学博士の学位を取得。
日本オリンピック委員会情報戦略部長・ゴールドプラン委員、日本レスリング協会ナショナルチームコーチ兼テクニカルディレクター、国際レスリング連盟サイエンスコミッションメンバー、スポーツ庁参与などを歴任(一部、現職)。
2015年から経済産業省・文部科学省のクロスアポイントメント制度におけるスポーツ界第1号として専修大学から日本スポーツ振興センターに出向(ちなみにスポーツ界第2号は東京医科歯科大学から2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会へ出向している室伏広治)。
2018年10月、国立スポーツ科学センター長に就任し、現在に至る。

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