「アスリート専用の動画サイト」まである、知られざる五輪への強化策 (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 伊藤晴世●撮影 photo by Ito Haruyo


 現在、西が丘一帯のハイパフォーマンススポーツセンターでは対応できない競技について、国は「ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点」を指定している。ゴルフのフェニックス・シーガイア・リゾート(宮崎県)や馬術の御殿場市馬術スポーツセンター(静岡県)など合計41施設がこれにあたる。

 久木留センター長は、こうした全国の競技別強化拠点とハイパフォーマンススポーツセンターを結ぶネットワーク化を新たな挑戦のひとつに掲げている。

「そのために2018年からデータベースの再構築を始めています。JISSを利用している選手のデータを集めただけではたかがしれていますが、競技別強化拠点それぞれのメディカル、映像、フィットネス、栄養に関するデータをかけ合わせれば膨大なビッグデータになりうる可能性がありますからね。

 共有したデータをもとに選手たちは、シーズン中はそれぞれの強化拠点で練習、各地で試合をこなし、オフシーズンになったら東京のハイパフォーマンススポーツセンターに来て、JISSでメディカルチェックを受け、宿泊してトレーニングに励んでいただくというわけです。ネットワーク化に成功したら、間違いなく、夏季・冬季のオリンピック、パラリンピックでメダルは増えていくでしょう」

 さらに、東京オリンピック・パラリンピック開催を機に日本のスポーツが大きく変わっていくなかで、「JISSにとって最も重要なことは、これまで培ってきた知見を国民に還元すること」だと久木留センター長は強調した。

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