リオ五輪、日本のメダルほぼ全部に「東京都北区西が丘」が絡んでいた (5ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 伊藤晴世●撮影 photo by Ito Haruyo


「アスリートの高地トレーニングには3つのパターンがあります。①『住む、寝るといった生活は平地で、トレーニングは高地環境で行なうリビング・ロー&トレーニング・ハイ』。②『高地環境で生活し、山を下りてきて一気に練習するリビング・ハイ&トレーニング・ロー』。そして、③『生活、トレーニングの両方ともきつい高地環境で行なうリビング・ハイ&トレーニング・ハイ』。

 現在、主流となっているのは③のパターンですが、実はどれが合うかは選手によって個人差がある。そこで、5000メートル級の山へ行かなくても高地トレーニングが可能な常圧低酸素室を使えば、科学のスケールによって数値を測定し、選手にとって最適なパターンを間違いなく選択することができます。低酸素というと、持久系機能を上げるためだけと思われがちですが、いわゆるハイ・インテンシティ(高強度)トレーニングやリハビリにも役立っているのです」

 大半の国民が気づかないうちに、スポーツ界ではJISSを拠点に"メダル増産"へのさまざまな取り組みがなされている。次回は、アプリや動画といったIT系の技術を駆使したアプローチについて明かされる。

(つづく)

【プロフィール】
久木留毅(くきどめ・たけし)
1965年12月28日生まれ、和歌山県出身。専修大学文学部教授。
和歌山県立新宮高校でレスリングをはじめ、専修大学でも活躍。卒業後はサンボ日本代表として世界選手権などに出場。
筑波大学大学院で体育学修士、法政大学大学院で政策科学修士、さらに筑波大学大学院でスポーツ医学博士の学位を取得。
日本オリンピック委員会情報戦略部長・ゴールドプラン委員、日本レスリング協会ナショナルチームコーチ兼テクニカルディレクター、国際レスリング連盟サイエンスコミッションメンバー、スポーツ庁参与などを歴任(一部、現職)。
2015年から経済産業省・文部科学省のクロスアポイントメント制度におけるスポーツ界第1号として専修大学から日本スポーツ振興センターに出向(ちなみにスポーツ界第2号は東京医科歯科大学から2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会へ出向している室伏広治)。
2018年10月、国立スポーツ科学センター長に就任し、現在に至る。

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