2020.03.26

リオ五輪、日本のメダルほぼ全部に
「東京都北区西が丘」が絡んでいた

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 伊藤晴世●撮影 photo by Ito Haruyo


 "ワン・ストップ・ショップ"であることに続く、2つ目のメリットは相乗効果だ。

「例えば、ウエイトトレーニング場で柔道やレスリング、スキーの選手が一緒にトレーニングをするとなると、異競技の選手同士でコミュニケーションが生まれます。情報交換も行なわれるし、お互いに負けられないと刺激し合うこともある。選手にとって、これは大きいですよ。

 もっと言えば、全国から発掘された中学生、高校生が味の素ナショナルトレーンングセンターを生活拠点として、近くの学校に通いながら練習に励むアカデミーへの好影響もあります。競技ではレスリング、卓球、フェンシング、飛込み、ライフル射撃、ボート、アーチェリーなどですが、将来あるアカデミーの子たちがここを拠点としているトップ選手たちと接し、彼らの練習を間近で見て、競技に対する姿勢を直に学ぶことができます。

 フェンシングでは2003年頃からウクライナ人のオレグ・マツェイチェクがJISS(現在は隣接する屋内トレーニングセンター・イーストを使用)でフルーレのコーチをしていますが、代表クラスの選手たちが『オレグの"レッスン"を受けよう』とJISSに集まってきて、近所に住むようになった。もちろん、アカデミーの子たちも同じフェンシング場で練習しています。すると、『フェンシングはそんなふうに利用しているんだ』と知った他の競技団体も真似して、次々とここを拠点とするようになりました」

 こうしてJISSやトレセンを含む「ハイパフォーマンススポーツセンター」を拠点とした競技団体は、競技力の向上がハッキリと数字に表れているという。
 
「いまオリンピック競技、パラリンピック競技合わせて25〜26の団体がここを拠点としています。リオデジャネイロオリンピックのメダル数で言うと、日本の41個のメダルのうち、ここを拠点としている競技が獲得したメダルが実に40個。残り1個はカヌー・スラロームの羽根田卓也選手で、彼はスロバキアを拠点としていますが、それでも日本に戻るとここで陸上トレーニングやウエイトトレーニングをしています」