2020.03.25

五輪メダルをドンドン増やす
「国立スポーツ科学センター」って何だ?

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 伊藤晴世●撮影 photo by Ito Haruyo


 実際に、オリンピック夏季大会のメダル獲得数で見れば、JISSがスタートして3年後の2004年アテネ大会、日本代表選手団は前回シドニー大会の金メダル5個から大幅に増やして金メダル16個を獲得。1964年東京大会と並ぶ最多記録を打ち立て、メダル総数も37個となった。

「科学、医学、情報の研究施設、それにクリニックがあり、設置当初からミニトレーニングセンターとしての機能も有していたので、体操、レスリング、フェンシング、ボクシング、ウエイトリフティング、競泳、アーティスティックスイミング(当時のシンクロナイズドスイミング)など、JISSが設置されたときから泊まり込みで練習して、食事をとり、うまく利用していた競技団体は軒並み成績がアップしました。

 その後、北京大会は金メダル9個、ロンドン大会は金メダル7個とやや減ってしまいましたが、2016年リオデジャネイロ大会で金メダル12個と盛り返しています。増えたメダル数を数値化するのは難しいですけど、少なからず我々も貢献できたかなと。数だけでなく、メダルの色がよくなった面もありますしね」
 
 JISS設置の効果は、メダル獲得競技の多様化にもつながっている。
 
「これまで日本の"お家芸"と言われてきた柔道、競泳、レスリング、体操以外でもメダルを獲れるようになった。それも"たまたま"ではなく複数回にわたってです。そのなかには、バドミントン、卓球、フェンシング、ウエイトリフティングなど、ここを拠点としている競技が多い。スキーのノルディック複合やジャンプもそうですね。残念ながら冬季競技の専門の練習場を提供することはできませんが、夏場のトレーニングや風洞実験棟を利用して、競技力アップにつなげています。もちろん、一番の要因は各競技団体さんのがんばりですけど。

 また、たとえメダルに届かなくても、全体的にはメダルに絡む選手が増えてきたと実感しています。我々は"メダルポテンシャルアスリート"と呼んでいるのですが、オリンピックの翌年から次のオリンピックまでの3年間、世界選手権レベルの大会で1位から8位までに入った選手は、どの競技も間違いなく増えています」